88歳のお客様の心温まる物語

スタッフブログ

約1年前のある日、私はいつものようにお客様の家に配達に行きました。いつもは玄関の前に宅配ボックスがありましたが、その日は見当たりませんでした。心配しながらも玄関の方へ向かいました。

すると、お客様から「牛乳屋さん、ちょっと上がって来て」と声が聞こえました。その声に従い、お客様のお部屋に入ると、そこにはお客様がぎっくり腰で横たわっていました。私は胸に迫る思いを抱え、何と言葉をかければいいのか戸惑いました。「大変ですね」「お困りでしょう」…。しかし、お客様は笑顔で迎えてくれました。

それから、月曜日と木曜日の配達のたびにお客様の具合を気遣いながら、「歩けるようになったかな?」と尋ねると、「全然、歩けません。オムツを履くようになってしまいました」とおっしゃるのでした。寝たきりになってしまうのではないかと心配しましたが、「大丈夫ですよ、必ず歩けるようになるはずですから、頑張ってください」と励ましの言葉をかけました。

それから1年が経ちました。ある日、お客様が廊下に立っていらっしゃる姿がありました。「えっ!?立てるようになったの!?」と驚くと、お客様は微笑みながら、「やっとこの間から立って歩く練習をしていたんですよ。息子もびっくりしていました」とおっしゃったのです。私は、とても嬉しく感動しました。「本当に良かったですね!ただ転ばないように気をつけてくださいね!」と伝えると、お客様は嬉しそうに笑顔を見せてくれました。

以来、配達の度にお客様はお部屋から出てきてくれるようになり、世間話などを交わすようになりました。そして少しずつ姿勢も良くなってきたのです。「本当に良かったですね!」と再び伝えると、お客様は「だって自分のためだもの」と笑顔でおっしゃったのです。

この出来事を通じて、私はお客様から諦めないことの大切さを学びました。年齢を重ねても、心と体を鍛える努力は報われるということを、お客様の姿から教えられたのです。これからもお客様の成長を見守りながら、共に歩んでいけることを願っています。